【南部鉄器の急須で鉄分補給!】本当に効果はある!?摂取量・取りすぎる危険性について

 

突然ですが鉄分、足りていますか?

 

鉄分不足は健康・美容の大敵。特に女性は鉄分不足になりがちなので、普段から鉄分は意識して取りたいものです。

 

そんな中、鉄分補給に効果があるとして日本で古来より親しまれてきた『南部鉄器』が改めて注目されています。

 

鉄瓶を使ってお茶を飲むと鉄分補給になる、と言われていますが実際の所はどうなのか気になりますよね。

 

そこで、今回は南部鉄器の急須で鉄分補給の効果や摂取量・取り過ぎてしまう危険性について解説していきます。

 

目次

南部鉄器の“急須”で鉄分補給はできるのか?

 

いきなり本題ですが、南部鉄器が鉄分補給に効果があると言われていますが“急須”であっても効果があるのでしょうか?

 

答えは、残念ながら効果は無い!と言えます。

 

ただし、南部鉄器自体は鉄分補給に効果があります。

 

禅問答のような話ですが、問題は“急須”だから。

 

実はお湯を沸かす為の“鉄瓶”とお茶を淹れる為の“急須”とでは構造が全く異なります。

 

何故、急須では鉄分が補給できないのでしょうか?

 

そもそも急須とはお茶を淹れる為の道具であるために内部にはホーロー加工が施されています。

 

また、直接火にかける事もなければお湯を沸かす事もありません。

 

いくら南部鉄器製であっても、“急須”では鉄分がお湯に溶けだす事は構造上起こらないという事になってしまうのです。

 

逆に言えば、内部をホーロー加工していないタイプの南部鉄器製“急須”であれば鉄分の補給に効果があるとも考えられます。

 

しかし、直火にかけてお湯を沸かす事が無い“急須”よりも鉄分補給を意識するのであれば鉄瓶を使ってお湯を沸かす方が効果的です。

 

以下の解説は、鉄分補給に効果が期待できる南部鉄器製の“鉄瓶”と内部がホーロー加工されていない“急須”を使った場合を想定して説明していきます。

 

南部鉄器で摂れる鉄分の種類

 

南部鉄器内部は、使用すると鉄分がお湯に溶け出して鉄分の補給に効果があります。

 

この時に生じる鉄分は二価鉄という種類の鉄分です。

 

実は、鉄分には種類の異なる2種類の鉄分が存在します。

 

一つは二価鉄(Fe2+)またはヘム鉄と呼ばれる鉄分、南部鉄器で摂取できる鉄分です。

 

二価鉄は、吸収効率がよい鉄分で肉や魚に多く含まれる鉄分の種類となります。

 

もう一つの鉄分は、三価鉄(Fe3+)または非ヘム鉄と呼ばれる鉄分です。

 

主に野菜などから摂取できる鉄分がこの三価鉄となります。ホウレンソウなど、鉄分を多く含むと言われる食材ですが実はこの三価鉄は非常に吸収効率が悪い鉄分なのです。

 

三価鉄は二価鉄に比べると半分程度しか吸収されず、しかも体内でビタミンCや消化酵素の働きによって二価鉄に還元されて吸収されています。

 

つまり、三価鉄とはそのままでは体に吸収出来ない鉄分という事になります。

 

南部鉄器で生じる鉄分は「二価鉄」です。

 

吸収されやすい鉄分を生じるからこそ、南部鉄器は鉄分補給に効果があると言われているのです。

 

南部鉄器を使ってどの程度鉄分を摂取できるのか

 

厚生労働省が推奨する一日当たりの鉄分摂取量は月経のある成人女性であればおよそ10~11mg/1日とされています。

 

これに対して、南部鉄器を使って沸かしたお湯で鉄分を補給するとどの程度の鉄分を摂取できるのか気になるところです。

 

残念ながら、具体的に南部鉄器を使って沸かしたお湯に〇mgの鉄分が溶け出しているといった数値で表す事は難しいです。

 

しかし、体内に吸収されやすい二価鉄が溶けだす南部鉄器が鉄分不足を補うのに効果的である事は疑いようがなく、一般に朝・昼・晩と南部鉄器で沸かしたお湯を使った飲み物を摂取するだけでも鉄分補給の補助的な効果があるとされています。

 

鉄分補給を効率よくするためには?

 

鉄分の補給効率を高めたいと考えている方は、南部鉄器で沸かしたお湯をそのまま飲むor“お茶以外”の飲み物にして飲むとよいでしょう。

 

理由は、お茶に含まれるタンニンが鉄分の吸収を阻害する効果があるため。

 

とは言え、実際には鉄分の吸収効率を大きく損なうことは無く気にする必要は無いという意見もあるようです。

 

逆に、鉄分の摂り過ぎが気になる方はお茶を淹れて飲む様にすれば鉄分の過剰摂取を抑える事ができます。

 

南部鉄器を使用した際に溶けだす鉄分量を具体的に数値化は出来ませんが、鉄分が溶け出す量には傾向があります。

 

それは、火にかけている時間と正比例して鉄分量が増えていくという事。

 

例えば、鉄鍋を使って調理した場合は調理時間が長くなればなるほど鉄分含有量が増加するという事が判明しています。

 

お湯を沸かす際も水からしっかりと時間をかけてお湯を沸かした方が鉄分をより多く摂取できる、ということになりますね。

 

鉄分を取り過ぎる危険性は?

 

鉄分は不足しがちな栄養素の一つですが、過剰摂取は身体に変調をきたします。

 

鉄分の過剰摂取による体調変化は・・・

  • 下痢
  • 胃の不調や痛み
  • 肝臓にダメージ

などが挙げられます。

 

身体にとっては必須な栄養素ではあるものの、一度に大量の鉄分を摂取すると身体が処理しきれない為に起こる不調ですね。

 

南部鉄器で鉄分補給を行う事で、このような過剰摂取にならないのでしょうか?

 

基本的には南部鉄器で鉄分を補っていても、過剰摂取に繋がるような危険性は極めて低いと思ってよいでしょう。

 

もちろん常識的な範囲で使用していれば、ですが・・・。

 

ごく普通にお湯を沸かして、そのお湯を使って何かを飲むだけでは過剰摂取になるような事はありません。

 

南部鉄器を使用する事で補給できる鉄分は吸収効率の高い二価鉄です。

 

効果的な鉄分補給をするためのコツは、一度に大量に飲むのではなく“毎日少量でも良いから飲み続ける”という事です。

 

鉄分は過剰摂取を恐れるよりは、不足を気にした方が良い栄養素です。

 

普段の食事でも多少の鉄分を摂取する事は可能ですが、推奨されている摂取量はかなり意識した食事にしない限り届きにくいものです。

 

南部鉄器で一日に必要な鉄分を摂取するという意識よりは、補助的な意味合いとして習慣的に使い続ける事で、鉄分不足を解消していけるのです。

 

南部鉄器の良さは鉄分補給だけじゃない!

南部鉄器は鉄分が摂れるだけが取り柄ではありません。

 

南部鉄器でお湯を沸かすと、水道水で気になるカルキ臭を飛ばしてくれる作用お湯の口当たりをまろやかにするという利点もあります。

 

南部鉄器で沸かしたお湯を使えば、お茶や料理が美味しくなって鉄分まで補給ができるのです。

 

南部鉄器のお手入れ方法

 

鉄器は、内部がホーロー加工されている“急須”は例外として基本的に内側も外側も鉄で出来ています。

 

鉄製であるがゆえに、「錆びやすい」というデメリットも存在するのです。

 

鉄製の南部鉄器を錆びさせない為にも以下の事に気を付けて、しっかりと手入れして長く使いましょう。

 

  • 錆の原因は水分。使用後は水分をしっかりとふき取る。
  • タワシやブラシでこすらない
  • 保管は風通しのよい場所で
  • 中にお茶やお湯を入れた状態で長時間の放置はしない

 

錆の原因は主に水気です。

 

また、細かい傷を付ける事も錆を引き起こす原因になるので注意しましょう。

 

もし、内部が錆びてしまった場合の対処法としてお茶の出がらしを入れて煮沸するという手入れ方法があります。

 

  • 見えるサビをある程度こすり落としておく
  • お茶の出がらしと水を入れて30分程度煮沸する
  • 半日程度放置しておく
  • お湯を捨てる。変色したお湯が出るので、綺麗にならない場合は手順を繰り返す。

 

錆びてしまっても、しっかりと対処すれば再度使える点も南部鉄器の良さですね。

 

まとめ

まとめ

 

 急須で内部がホーロー加工されている場合は鉄分補給できない。

 

 鉄分の補給は鉄瓶か内部加工のされていない急須で行なう。

 

 鉄分は補給できるが補助的な役割として毎日少しずつ継続する事が大切。

 

 

昔の日本人は、現代に比べて食生活は乏しかったはずです。

 

それにも関わらず、深刻な鉄分不足を起こさなかったのは鉄器を上手に使って鉄分を補給していた事と関係が深そうですね。

 

温故知新、私たち日本人の古き良き知恵を活かして鉄分不足を解消して美味しいお茶を飲みましょう。