カタツムリの特徴と言えば、『殻』。
カタツムリの殻はどんな成分で出来ているのでしょうか?どのように成長するのでしょうか?
カタツムリの不思議な生態を交えながら詳しく解説していきます。
目次
カタツムリの殻は体の一部
カタツムリの殻は成長するのか?という疑問を解く鍵としてそもそもカタツムリの殻は何なのか?を考える事が一番の近道です。
カタツムリの殻は、体の一部です。
人間で言うならば、爪や歯のようなもの。つまり、ヤドカリなどのように元々背負ってなかった殻を住まいにしている訳では無く産まれた時から殻を背負っているのです。
当然、体の一部ですから体の成長に合わせて殻も成長するのです。
それでは、カタツムリの殻についてより詳しく見て行きましょう。
①カタツムリの殻の成長速度
殻の成長速度は、カタツムリを取り巻く環境に大きく関係してきます。
カタツムリの殻をよく観察する機会はあまり無いかもしれませんが、よく見ると殻には筋のような色が濃くなっている部分があります。
実はこの線、カタツムリの殻が成長できない期間に付く線です。成長できない期間とは主に冬場。
カタツムリは寒さに弱く(暑さにも弱いのですが)環境が厳しくなると入口に薄い膜を張りじっとする事で耐え凌ぎます。
この間、殻は成長を止める為その部分が線のように見えるのです。
つまり、カタツムリの線を数える事で、そのカタツムリが何度冬を越したかが判るのでカタツムリの年齢を知る事が出来ます。
②カタツムリの殻を構成する主成分
カタツムリの殻は石灰質(炭酸カルシウム)を主成分としています。卵の殻と一緒です。
さらに、殻の表面は殻皮と呼ばれていてキチン質で出来た層でコーティングされています。この2重構造により、殻についた汚れなどが落ちやすくなっています。
③カタツムリの殻の成長方法
カタツムリの殻は体の一部と述べましたが、どのように成長していくのか気になりますよね。
カタツムリは卵から孵り、小さな小さなカタツムリの状態から殻を背負って産まれます。その後、カタツムリは成長をしていく訳ですが殻も成長に合わせてどんどん大きくなっていきます。
殻がどのように大きくなるか、解り易い表現で説明すると「建て増し・増築」です。
顔を出す入口部分を体の成長に合わせてどんどん建て増ししながら大きくなっていきます。
④カタツムリが殻を背負う理由
カタツムリが殻を背負っている理由は身を守る為。
外敵から身を守るという意味もありますが、前述したようにカタツムリは寒さや暑さに弱い生き物です。
温度的な意味というよりは湿度的な意味が強く、言い換えればカタツムリは乾燥に弱い生き物なのです。
その為、乾燥から身を守るという側面も殻にはあります。
外敵や乾燥から身を守る殻は、カタツムリにとっては住み心地の良い家であると同時に敵から身を守る為のシェルターの役割も果たしているのです。
⑤カタツムリの殻の自動修復
外敵に襲われたりすることで、カタツムリの殻が損傷した場合どうなるのでしょうか?
カタツムリの殻は、体の一部なので損傷しても時間をかければ元に戻る特徴があります。また、自浄作用もあるので汚れなどが付着しても時間が経つと綺麗に戻ります。
しかしながら、乾燥から身を守っている殻が大きく損傷してその機能を果たせないと死んでしまいますので、損傷の規模によっては修復できない事もあります。
⑥カタツムリを殻からとりだせる?
もし好奇心からカタツムリを殻から出そうと考えるのであれば、やめておきましょう。
カタツムリの殻は体の一部であると何度も述べていますが、カタツムリは殻があってそこにスッポリと収まっている訳ではありません。殻も込みで、ああいう生き物なのです。
殻から無理に引き出そうとした場合、絶命しますのでやめておきましょう。
ちなみに、たまに中身が居ない殻を見かける事がありますがあれは引っ越した訳ではなく外敵に襲われたなど、なんらかの理由で死んでしまい殻だけが残ったものです。
カタツムリの寿命
カタツムリは国内でも7~800種類いると言われています。
種類によって寿命も様々なのですが、国内で見られるカタツムリで言えば最長でも5年程度の寿命です。
ちなみに、世界ではナミコギセルというカタツムリが15年生きた例があります。
大きさも様々で、アフリカには殻の直径が20㎝もあり体長は40㎝にも達する超巨大なカタツムリの種類までいます。出来れば、あまり見たくは無いサイズですね。
カタツムリがコンクリートを食べる理由は『殻』のため
ちょっと意味深なタイトルですが、カタツムリの歯にまつわる話です。
生物学的に言うと、歯舌(しぜつ)と呼ばれる器官をカタツムリは持っています。この歯舌、構造はちょうどおろし金のようになっていて小さなギザギザが1万2千もあります。
何が恐怖の生態なのかというと、カタツムリはこの歯舌を使いコンクリートを食べます。まさにおろし金のようにコンクリートをガリガリと削って食べてしまいます。
何故、コンクリートを食べるのかと言うと冒頭から述べている「殻」に関係してきます。
カタツムリの殻は炭酸カルシウムで構成されていますが、この殻を大きくする為には体内に大量のカルシウムを取り込む必要があるのです。
現代社会において、コンクリートはまさにカタツムリにとってはうってつけのカルシウム源。カタツムリが塀などに張り付いているのはコンクリートを食べているからなんですね。
悲しい左巻きのカタツムリ
カタツムリの殻はうずまき状になっていますが、そのほとんどは右巻きであることはご存知でしたか?
人間にも右利きと左利きが居ますが、昨今では左利き用の施設や商品も増えてきて左利きであっても不便を感じづらくなってきましたね。
しかし!
カタツムリの世界では人間の左利き程度の不便とは比べものにならない程、左巻きカタツムリには悲しい宿命があるのです。
カタツムリの不思議な生態として雌雄同体である事はよく知られています。
非常にゆっくりとしか移動できず、移動範囲も狭い為に雌雄同体になったと考えられていますが、実はそれに付随した左巻きにとって非常に酷な生態も判明しています。
カタツムリは右巻きであれば、右巻きの個体としか交尾しない。
ただでさえ、別個体との遭遇が難しいカタツムリなのに左巻きのカタツムリの生殖行動には更に高いハードルがあるのです。それは、同じ左巻きのカタツムリに遭遇しなければならないという事実!
もはや、左巻きに産まれてしまった場合は自家受精(カタツムリは最悪の場合1個体のみでも子孫を残します)という道が濃厚という悲しい現実。
左巻きの個体は、突然変異の一種と考えられているのですが全体から見れば本当に少数しかいない個体です。にも関わらず、同じ左巻きとしか交尾できないという何とも可哀相なお話でした。
まとめ
・カタツムリの殻は産まれつき。体の一部である。
・殻は成長する。構成成分は主に炭酸カルシウム。
・殻の成長は建て増し方式。
・寿命は国内だと最長でも5年程度。種類によっては15年生きるものもいる。
・カタツムリはコンクリートすら削り食べる。
・左巻きのカタツムリは交尾相手に巡り合える可能性が非常に低い。
いかがでしたでしょうか?
カタツムリの殻を中心に、不思議なカタツムリの生態をご紹介しました。
カタツムリの殻を作る為に必要なカルシウム分をコンクリートから調達するなど、可愛らしい見た目とは裏腹にたくましく生きているカタツムリ。
ちなみに、雨の日によくカタツムリを見かけますがあれは雨が好きな訳ではなく溺れちゃうから高い所に避難しているだけなんですよ。
知れば知るほど不思議な生態のカタツムリ。
お子さんの自由研究の題材にもピッタリですが、寄生虫を持つ場合があるのでカタツムリに触れた際にはしっかりと手を洗う事を忘れないようにしましょうね。