カメムシは洗濯物や網戸に卵を産み付けたり、農作物を食い荒らしたりする害虫というイメージが強いです。
また、あの強烈な臭いが嫌われている要因でもありますね。いっそのこと天敵に襲われていなくなって欲しいと思ったことはありませんか?
だけど、あの臭い・・・カメムシを好んで食べる天敵なんているのでしょうか?
今回はそんなカメムシの天敵についてご紹介します。
目次
カメムシの天敵
カメムシの天敵はもちろんいます。
では、どんな天敵がいるのか詳しくご紹介します。
①カエル
その可愛らしい姿から子供にも大人気のカエルですが、れっきとした肉食で主に昆虫などを食べて生きています。その為、カエルの目の前にカメムシが現れたらカエルは反射的に捕食してしまいます。
しかし、どうやらカエルはそこまでカメムシは好物ではないようです。
それでも、カメムシにとっては恐るべき天敵であるという事は間違いないでしょう。
水稲を荒らすカメムシの駆除の為、故意にカエルを放つ農家もいるようです。
②鳥
鳥は果実や種子、昆虫などを食べますが、カメムシもその対象です。
木の葉の陰に隠れているカメムシも、空中から見つけ、あっという間に捕まえてしまう能力はとてもすごいですね。
一度鳥から見つかってしまえば、もうカメムシは太刀打ちすることはできないでしょう。
③クモ
クモの巣に引っかかった虫は何でも食べてしまうというイメージが強いクモですが、やはりカメムシを食べる事もあるそうです。
「あるそうです」と言うのは、クモもカメムシはそこまで好き好んで食べるわけではないからです。また、カメムシの種類によっては仮にクモの巣にひっかかっていたとしても食べない場合もあるようです。
しかし、一応、食べる事もあるということで天敵と言えるでしょう。
④カマキリ
あの大きな目に鋭いカマを手に付けたような姿のカマキリ。
よくバッタなどの昆虫を捕まえて食べている姿を見かけますが、結構獰猛な肉食の昆虫なのです。そんなカマキリは一応、カメムシも食べる事があります。
しかし、カマキリによってはその強烈な臭いからか捕まえたものの食べない時もあるようです。
⑤トンボ
トンボは肉食性で飛翔昆虫を主に捕食して生きているようです。
トンボも色々種類がありますが、大きいトンボであればスズメバチを食べる事もあります。
カメムシももちろんトンボのエサの対象です。空中で飛ぶカメムシを6本の脚でガッチリ掴んでバリバリ食べます。
トンボがたくさん飛んでいる時期だと、カメムシは飛んで移動するのは命がけのようです。
⑥サシガメ(オオトビサシガメなど)・グンバイメクラガメ
一般の方にはあまり馴染みのない名前かもしれません。
しかし、カメムシにとっては強力な天敵だと言えるでしょう。実は、このサシガメやグンバイメクラガメは肉食のカメムシなのです。
そして、この肉食性のカメムシは他のカメムシを捕食します。
「仲間だと思ったのに!」なんていうカメムシの悲痛な声が聞こえてきそうです。
カメムシの卵を捕食する天敵
①アリ
アリはカメムシの卵を狙ってやってきます。
カメムシは意外にも、卵をただ産んで終わりというわけではなく、子供の面倒を見るという昆虫の中でも珍しい習性を持っています。
その為、カメムシの卵を狙ってアリがやってくると、カメムシはあの強烈な臭いをアリに対して放ち、アリはたちまち麻痺してしまいます。
しかし、次から次へと大群でやってくるアリにはさすがにかないません。
カメムシの卵はアリへと持って行かれるのです。しかし、アリはカメムシの卵にしか興味はありません。
アリはどうしてもあの臭いが嫌いなようです。
②アブ
カメムシの卵を狙う昆虫の一つにアブがいます。
カメムシはアブに対しても臭いを放って攻撃しますが、群れを成してやってくるアブには全ての卵を守りきる事ができません。
こんなものまで!?静かなるカメムシの天敵とは?
①冬虫夏草
冬虫夏草という名前を聞いたことはありますか?
これは、ある種の冬虫夏草が中国では滋養強壮に良いということで漢方薬にも使われている殺虫キノコの事です。
カメムシタケという冬虫夏草があるのですが、その名の通り、生きたカメムシに取り付き菌糸を伸ばして養分を吸い取ります。
菌糸を伸ばして養分を吸い取るなんて・・・カメムシにとっては静かなる天敵であることは間違いないでしょう。
②食虫植物
ハエトリグサとも呼ばれる食虫植物をご存知ですか?
植物なのですが、大きな口のような葉っぱでハエなどの昆虫をパックリ食べてしまう物です。
その姿はなんとも不気味なのですが、やはりカメムシも食べてしまうようです。
一休みしようと思った先が食虫植物であればカメムシはそのままパックリと飲み込まれてしまうでしょう。
寄生蜂というカメムシ専門の天敵
チャバネクロタマゴバチ・カメムシタマゴバチ・マルボシハナバエなどの蜂は主にカメムシの卵や幼虫に自分の卵を産み付けて寄生させます。
カメムシの卵や幼虫の体を借りてすくすく成長し、用が済めば養分として食べてしまう・・・なんとも恐ろしいですね。
するとカメムシの子供が孵化すると思いきや、出てくるのは蜂の子供というわけです。
カメムシの卵に寄生する寄生蜂はあの強烈な臭いで攻撃する事もできない為、最強の天敵なのかも知れません。
人間はカメムシの最強の天敵
ここまでカメムシの天敵にはどのようなものがいるのかご紹介してきましたが、どれも共通しているのは自分が生きる為にカメムシを捕食したり、寄生したりするという点です。
しかし、人間はどうでしょうか?
作物を荒らされるのが嫌、あの臭いが嫌、卵を洗濯物に産み付けられるのが嫌・・・そういった理由でカメムシを駆除したり、カメムシの天敵を利用したりします。
その一方、一部の国では食料として食べているようです。
例えば、メキシコでは生のカメムシをタコスの中に入れて食べるようです。
また、東南アジアでは一度蒸したものを天日干しにして食べたり、スパイスの一つとしてカメムシを食べている国も存在しているようです。
カメムシに限らず、人間は昆虫も食料としていますね。
そう考えると、カメムシにとって最強の天敵は人間なのかもしれませんね。
まとめ
・カエル・鳥・クモ・カマキリ・トンボなどはカメムシを捕食することがある。しかし、あの強烈な臭いが原因であまり好んで食べているわけではないものもいるようだ。
・カメムシには草食性と肉食性がおり、肉食性のカメムシは他のカメムシを捕食する。農家ではあえて肉食のカメムシを利用して他のカメムシを駆除することもある。
・アリやアブはカメムシの卵を捕食する。
・カメムシタケという冬虫夏草や食虫植物はカメムシを捕まえて養分を吸い取る植物である。
・カメムシ専門の天敵が寄生蜂である。
・殺虫剤を撒き散らしたり、時には大量に捕まえて食べてしまう人間は最強のカメムシの天敵と言える。
カメムシのあの強烈な臭いには毒性があるようで、カメムシ自身もあの臭いに抗体がない為、麻痺してしまう事があります。
少々おマヌケな昆虫です。
しかし、そんなすごい臭いを武器に備えているだけあって、カメムシの天敵は意外と少ないようです。
ただ、全てのカメムシが臭い匂いであるとは限らず、中には青リンゴのような臭いを放つ種類がいるそうです。
興味のある方は、カメムシの種類ごとに臭いを嗅いでみてはいかがでしょうか?