【蚊が血を吸った後】どこで何をしている!?血を吸う理由や回数&吸いすぎた蚊は死ぬ?

 

「ぷ~ん」というあの嫌な音。蒸し暑く寝苦しい夜に耳元で聞こえる羽音の正体は誰もがご存知の蚊ですね。

 

蚊は誰でも知っているけれど、その詳しい生態について知っている方はあまりいないと思います。

 

蚊が血を吸う理由やどの位吸うのか?また、吸った後何をするのか?

 

今回は、そんな人間からの嫌われ者である蚊の知られざる生態についてご紹介したいと思います。

 

目次

蚊が血を吸う理由

 

 

蚊と言えば完全に「吸血する害虫」というイメージですが、実は人間や動物の血を吸うのは蚊の中でも産卵前のメスだけなのです。

 

オスの蚊や交尾していないメスは普段花の蜜や樹液などを吸って生きています。

 

蚊はその小さな体の割に沢山の卵を産みます。

 

その為、どうしても産卵するまでのエネルギー源としてタンパク質や必須アミノ酸などの栄養素が必要になり、吸血することで補っているのです。

 

蚊は大体2~3㎎ですが、6~7㎎と自分の体重の倍程の重さになるまで吸血します。

 

中には体が重すぎて動けなくなる蚊もいる程です。俊敏に動けなくなるのに、蚊は危険を冒してまで自分の子孫を残そうと必死で吸血するのです。

 

ちなみに、蚊はこの大切な栄養素を産卵する為だけに使い、生活する為のエネルギー源として一切使う事はないそうです。

 

蚊は血を吸った後何をする?一生の吸血回数は?

 

 

産卵前のメスの蚊はたらふく吸血し、栄養素を沢山摂取したら、飛び回るのを止めます。

 

そして、静かな場所(好みがあるようです)を見つけると2~3日ひたすらじっと動かずにその場にとどまり卵巣を発達させます。

 

その後、水の流れが少ない水たまりなどに産卵するのです。

 

メスの蚊が一度に産卵する卵は200~300個と言われています。

 

また、メスが一生に産卵する回数は約5回と言われており、産卵の度に吸血します。つまり、一生に約5回の吸血を行うことになります。

 

単純計算でメスの蚊が一生に産む卵は少なくとも1000個近くに昇ることになりますね。すごい数・・・。

 

吸いすぎた蚊は死ぬ?

 

 

「蚊が血を吸い過ぎて破裂して死んでしまう。」という事がネットなどでまことしやかにささやかれています。

 

しかし、このような事実はありません。

 

では、なぜこのような噂が出回っているのでしょうか?

 

もしかしたら、お腹いっぱいに血を吸って体が重くなって上手く飛べない蚊が、誤ってどこかに激突して死んでしまった光景を見た人が「血を吸い過ぎて死んだ」と勘違いしてしまったのかもしれません。

 

蚊は自分の体重の倍以上血を吸う事がある為、重すぎてコントロールが上手くいかず、そのまま柱などにぶつかる事は珍しくないようです。

 

噂が立った経緯については定かではありませんが、とにかく、蚊は血を吸い過ぎただけで死ぬことはありません。

 

蚊は暑過ぎると死ぬのか?

 

 

蚊が活発に活動する気温は25℃~30です。

 

この気温であれば、蚊は活発に飛び回り、朝から晩まで花の蜜を吸ったり、動物や人間の血を吸ったりするのです。

 

しかし、35度を超えると、その暑さの為か、人間同様蚊もやる気を失くすようです。そして、温度が下がるまで葉の裏や日陰などのなるべく涼しい場所で過ごします。

 

夏場の日陰に蚊が多いのはこの為なのです。

 

猛暑が続くと、蚊が少なくなると言われていますが、実は蚊が死ぬわけではなく、涼しい所でただじっとして人間を刺さないだけなのです。

 

暑さは人間だけではなく、蚊にも相当こたえるようですね。

 

蚊の針はすごい!蚊の吸血のメカニズム

 

 

蚊は6本もの針を一つにまとめた「さや」を使って吸血します。

 

このさやを皮膚に押し当てる際、さやは二つに分かれ、内側に折れ曲がります。

 

そこで、更に、6本の針の中で先端がのこぎり状になった一対の針を使い、皮膚を滑らかに切り裂いてゆきます。

 

血管に到達すると、3本目の針を刺し、血が固まりにくくなるように血管に唾液を入れます(この唾液の中のタンパク質にアレルギー反応を起こし、痒みが出ます。)

 

唾液を注入すると、最後にストロー状の針が侵入し、2分程かけてゆっくりと血液を吸い上げるのです。そして、吸血後の針から血がこぼれないようにする為、吸血用の針の管を包む役割の針もあります。

 

そして、皮膚から針を抜く際は、針の歯部分が皮膚に引っかからないように歯の部分を内側に向けて引き抜きます。

 

この様に蚊はすごい機能を持った6本の針を巧みに使い分けているのです。

 

この蚊の針を参考にし、なるべく早く痛くない注射が開発されることを切に願っています。

 

意外と知らない蚊の一生

①メスの交尾は一生に一度だけ

ボウフラとして生まれた蚊が成虫になり、メスであれば羽化後2~4日で卵ができるようになります。

 

成熟したメスの蚊はオスの蚊と交尾することで、産卵するのですが、メスの蚊は一生に一度しか交尾しません。

 

一度の交尾で得た精子は受精嚢と呼ばれる袋のような物に蓄えられます。

 

しかし、例え、交尾してもこの状態ではメスが妊娠することはありません。

 

メスは卵を育てる為のエネルギー源である血を求めて飛び回ります。血を吸ったら、初めて体の中で卵が成長し産み落されるのです。その際、受精嚢の近くを卵が通り、精子が卵子に入り受精卵になるのです。

 

産卵後もメスの蚊は受精嚢に入っている精子で受精させ産卵します。

 

つまり、蚊は一生に一度交尾をするだけで何度も産卵することができるということです。

 

その為、一度交尾をしたメスが二度と交尾する事はなく、オスの蚊を避けるように生活します。

 

②蚊の種類と活動時期

世界的に見ると、蚊の種類は3000種類以上いると言われています。

 

そのうち、日本では約100種類も生息していますが、そのうち吸血する蚊は10種類程度です。

 

中でも、よく見かけるのは「イエカ」「ヤブカ」「ハマダラカ」の3種類です。

 

「イエカ」は家の中でよく見る蚊で全体が茶色っぽく、カーテンの裏や天井付近にいることが多いです。

 

また「ヤブカ」はその名の通り、主に藪に住み、「ハマダラカ」は羽に黒い斑模様が見られるのが特徴です。秋になりだんだん気温が下がってくると、蚊は少なくなりますが、死んでしまうのはヤブカ類だけです。

 

イエカ類のオスは死んでしまいますが、実はメスは越冬するそうです。冬に蚊に刺されてしまった場合、たいていこのイエカのメスが主犯です。

 

蚊は暑い時期だけというイメージが強いですが、冬でも実は生きており、やはりその動きは鈍くなるものの意外と年中飛び回っています。

 

蚊は生態系に必要な存在?

 

 

蚊はマラリヤや黄熱病やデング熱、日本脳炎、西ナイル熱等の恐ろしい病原体を媒介し、世界規模で見ると人間を一番殺している昆虫であると言われています。

 

そんな蚊は「この生態系に本当に必要なのか?」と思ったことはありませんか?

 

蚊は3000種以上地球上に生息し、そのうち人間を刺すのは数百種類です。

 

オスや残りの種類の蚊は花の蜜や果汁などを吸って生きています。

 

また、蚊の子供であるボウフラは水中に生きる様々な虫にとって貴重なたんぱく源となっています。このようにして、蚊は約1億年以上も前から地球上に生息していました。

 

もし、蚊がこの世から一匹残らずいなくなったとしたら、ボウフラを餌としていた生物は息絶え、また、花粉などを媒介してもらっていた植物が絶滅してしまう恐れがあります。

 

しかし、一方で「仮に蚊が絶滅したとしても、蚊を餌として生きている生物は他の物を食料源とする為、絶滅はしないのではないか。」という考えもあるようです。

 

けれども、やはり一時的だとしても、蚊が絶滅することで、地球の生態系が崩れるのは否定できない事実に変わりはありませんね。

 

まとめ

・蚊は普段は花の蜜や果汁を吸って生活しており、人や動物を刺すのは産卵前メスだけである。

・蚊のメスは交尾後、産卵の為のエネルギー源として栄養豊富な血液を吸う。

・蚊が一緒で産卵する回数は約5回で、その度に吸血する。

・吸血後の蚊は2~3日じっと動かず、卵巣を発育させてから水たまりなどに産卵する。

・蚊が血を吸い過ぎて破裂して死ぬことはない。

・蚊が最も活発に活動する気温は25℃~30℃でそれ以上になれば、日陰などの涼しい場所でじっとしているだけで死ぬことはない。

・蚊の針は6本が一つになっており、それぞれの針を巧みに使い分けている。

・蚊の交尾は一生に一度のみで約5回の産卵ができる。

・「イエカ」「ヤブカ」「ハマダラカ」の3種類が良く見かける蚊で、殆どが越冬できないが、イエカのメスは季節を問わず年中活動している。

・蚊は様々な病原菌の媒介者であると同時に、花粉を媒介したり、他の生物の餌となる為、蚊が絶滅すると現在の生態系は崩れてしまう。

 

今回は人間に身近な虫なのに意外とその生態が知られていない蚊についてのご紹介でした。

 

蚊と言えば、しょっ中吸血しているイメージですが、意外にも吸血する回数は少ないようです。しかも、それは子孫を残す為の事だったのですね。

 

とは言っても、やはり蚊は病原菌を媒介する小さく恐ろしい昆虫、愛おしく思う事はできませんよね。

 

蚊の生態を知りつつ、蚊に刺されないようにしっかりと対策をしてくださいね。