昔から、この世で怖いものを評して「地震・雷・火事・親父」などと言います。
最後の親父については、昨今では比較的穏やかな男性も増えてきたので事情が変わってきたと言えそうですが、自然災害は私たちにとって大きな脅威であることは今も昔も変わらないという事がよくわかりますよね。
今回は、そんな自然災害の中でも「雷」を解説していきます。
解説内容
✔ 雷の確率は?
✔ 万が一、雷に撃たれてしまったらどうなってしまうのか?
✔ 雷が人に落ちてしまう事件は毎年どれくらいの頻度で発生するのか?
✔ 雷から身を守る方法はあるのか?
などなど、雷づくしの記事をお送りいたします。
目次
人に雷が落ちる確率
警察白書によると、日本で落雷被害にある人は年間平均20人。
1994~2003年の間における死亡事故率は70%にのぼります。
しかし、2000~2009年の10年間で切り取ってみると死亡事故は全体の20%にしか満たないという変化が見られます。
雷に撃たれる確率を数値化した場合10000000分の1(1千万分の1)の確率。
宝くじで1等が当たる確率とほぼ同じ程度の確率です。確率的にみても、雷が人に落ちるという現象はそうそう起こる事ではないのです。
雷が人間を直撃!雷が落ちた人はどうなる?
確率的にそうそう落ちないと言われても雷が鳴ると、恐怖を感じますよね。
雷が怖い、苦手であるという方は多く見かけます。
もちろん、万が一落ちるかもしれないという恐怖もあるでしょうが大抵の人は雷が引き起こす轟音や、不気味さなどで苦手意識を持つだけで雷が鳴る度に自分へ落ちる可能性をそこまで現実的に考える人はいないのではないでしょうか?
しかし、確率は低くとも雷は人体へ落ちる場合があります。
実際に雷が人を襲った場合、どうなるのでしょうか?
イメージとしては、直撃=死となりますが実は必ずしも死亡事故になるわけではありません。また、直撃だけでなく側撃と言う落雷した場所の近くに居た際に起きる放電作用によっても危険な事故が起きるので側撃も非常に怖いのが雷です。
人体は神経、筋肉をはじめとして脳からの指令も全て「微弱な電流」で行っています。
極端に言えば、我々は常に体内で微細な電流を通電して生活しています。
精密機械のように電流ネットワークが構築されている人体に、もし数億ボルトの電流が走ったとしたら?
当然、大きな問題が起きる事は想像に難くありませんよね。それでは具体的にはどのような問題が起きるのかを見て行きましょう。
①死亡に繋がるケース
当然、死に至るケースがあります。雷に人が撃たれた場合、瞬間的に強い電気が体内を駆け抜ける事になります。
非常に驚くべきことに世界的に見た場合は落雷被害に遭った人で死に至るケースは実に3割程度。雷に撃たれる=死 とは限らない事がわかりますね。
ところが、我が国で落雷被害に遭った場合、死亡率約70%と、異常に高い確率で死亡に繋がってしまうケースが多いです。
実は、先ほど落雷被害には直撃と側撃がある事をお伝えしましたが日本は側撃によって命を落としてしまう人が非常に多い事が起因しています。
なぜ、側撃被害に遭ってしまう日本人が多いのか?それは、日本人が知る間違った雷対策が原因です。
雷が鳴ったら大きな木の下へ避難する。
身につけた貴金属を外せば安全。
こんな対処法を耳にしたことはないですか?どちらも、落雷被害から身を守るという観点では間違いです。
特に、大きな木の下への避難は側撃のリスクを跳ね上げるだけの愚行なので絶対にしないようにしましょう。
ちなみに落雷で死亡してしまう原因は、高電圧が体内を駆け抜ける事による心肺停止や脳が深刻なダメージを受けたことによるものがほとんどです。
金属類を身に着けていた場合、その部分が火傷を負う可能性がある事から貴金属を外すという対処法が広まったと考えられますが、落雷を避ける事とは何の関連性もありません。むしろ、落ちた場合に被害を少なくする方法です。
冒頭で、2000年代以降は我が国での死亡事故率が20%程度にまで下がった事をご紹介しました。
これは、TVや雑誌などで間違った対処法についての認識を改めるような内容が伝えられたりして、雷対策の誤解が少なくなったことと関係していると考えられます。
しかし、まだまだ間違った雷対処法を信じている方も多くいらっしゃいます。正しい対処法を最後のテーマで紹介していますので、これを機会に正しい対処法を覚えておくと良いでしょう。
②鼓膜がやぶれる
人体を高電圧が駆け抜ける際に鼓膜が破れる事があります。
③不思議な模様の火傷を負う
雷に撃たれると、高電圧が体内を駆け抜けます。
その際、電気を放出した箇所は深い傷を負う事になるのですが血管が焼かれる事で不思議な模様の傷跡が残ります。
リヒテンベルグ図と呼ばれる、まるで血管が浮き出ているかのような火傷跡が残るのです。電気を放出して焼かれた部位によって異なるので、場所や規模は様々ですが雷に撃たれて生存している被害者は、まるでタトゥーをいれているような火傷跡が残るのです。
④後遺症は様々
雷に撃たれて、幸運にも命を落とさなかったとしても深刻な後遺症に悩まされるケースも少なくありません。
後遺症は様々で、日常生活にほとんど支障をきたしていないという方もいれば神経系に障害を残して温度が感知できなくなってしまうケースや麻痺が残るケースまであります。
高電圧が体内を通った際に、どこが放電による破壊を受けたかでその後に起きる後遺症は変わりますが、こればかりは運としか言いようがないですね。
また、精神的な後遺症を引き起こすケースも多いようです。
雷に撃たれるなどというショッキングな体験をしているわけですから、トラウマを抱えるのは無理もない事です。
一概には言えませんが、落雷によるショックで睡眠障害や記憶障害、さらには人格の変化なども報告される症状です。
精神的、肉体的に大きく後遺症を残す事とも関連するのでしょうが、落雷被害に遭った方は自殺率が上昇するというデータも報告されています。
やはり、大きな後遺症や精神的ダメージを負った事が起因すると考えられています。
雷に撃たれるという経験自体が稀な事もあり、自身の辛さが誰にも理解してもらえないと悲観してしまいがちになるようです。
精神科医などはこのような悩みを抱えた患者が来ても、特殊なケースである為にどう対処すべきが戸惑ってしまうという事が多いようです。
雷に撃たれた場合の被害は、本当に様々です。雷が通った場所に傷跡を残すだけでピンピンしている人もいれば、死亡してしまう人もいます。
また、命は助かっても深刻な後遺症に悩まされる人まで一概に被害の重さは計れません。
やはり、雷に撃たれない事が一番です。
それでは、落雷被害に遭わない為にはどのようにすればいいのでしょうか?落雷被害を避ける為にできる対処法などについて説明していきます。
雷が落ちない方法・身を守る対策
雷に撃たれない為にも、対処法を覚えてきましょう。
①安全な機内、車内
車の中なら安全。耳にしたことがあるかもしれませんが、こちらの情報は正しいです。
雷の正体は過剰な程に高められた静電気。つまり電流ですので、車に落ちた場合は車外の金属部分を伝導して地面へと放電されます。
その際、電流が流れるのは車外の金属パーツになるので車内に居ても電流を受ける心配がなく、安全です。
飛行機なども同様に機内へと電流が流れる事が無い設計になっているので安全です。
②家の中は100%安全ではない
家の中に居れば、屋外にいるよりは安全であると言えます。
しかし、家屋へと落雷するケースもある為100%安全とは言えません。
家屋への落雷が発生した時は、落雷そのものよりもそれに伴う過剰な電流伝導による火災に注意が必要です。
とはいえ、屋内に居て落雷の可能性を考えて恐れていては何も出来なくなってしまいますので、過度に恐れずに万が一落ちた際は火災に注意が必要である、という程度の認識でよいでしょう。
③屋外にいる場合は注意が必要
落雷時に屋外にいる場合、非常に危険です。近くに建物や車があれば、すぐに避難しましょう。
しかし、たまたまキャンプ地に訪れているなど不測の事態も考えられます。その場合は、高い木を見上げる位置へ移動しましょう。
高い木があれば、雷がもしその周辺に落ちる場合はそこを目指し落ちてきます。その為、高い木の下は側撃を受ける為大変危険です。
そこで、高い木のテッペンを見上げる事ができる位置(見上げる角度は約45度以上)を探しましょう。高い木を見上げる事ができる位置、それは即ち側撃を避けれる程度離れた位置になります。その場所で、両足を揃えてしゃがんでいれば比較的安全です。
まとめ
・雷が落ちると死亡する場合がある。
・日本は死亡率が非常に高い。雷対策の誤認が起因。
・命を取り留めても、後遺症に悩まされるケースもある。
・肉体的にも精神的にも大きなショックを受けてしまう。
・車内は安全。雷が鳴ったら車へ避難。
・屋外では、側撃を回避できる位置を確保してしゃがんで安全確保。
いかがでしたでしょうか?
想像していたよりは、落雷による死亡率は高く無い事には驚きですよね。
日本で死亡率が高いのは、側撃被害が多い事が起因していますので雷が鳴っているのを耳にした際は、正しい対処法を心がけて落雷被害に遭わないようにしましょう。