梅雨時期の風物詩として、雨に濡れたアジサイの葉にカタツムリが這っている画をイメージする人は多いのではないでしょうか?
雨が降ると見かけるカタツムリですが、実はおもしろい生態を数多く持っている生き物なんです。
今回は、カタツムリの平均寿命やおもしろい生態について詳しくご紹介していきます。
目次
カタツムリの寿命
カタツムリの寿命と聞いて、ピンと来る人はそう多くありませんよね。
あまり長寿なイメージは無いカタツムリですが、カタツムリの平均寿命はどの程度なのでしょうか?
実は種類によって大きく異なるカタツムリの寿命。
日本でよく見かけるカタツムリはウスカワマイマイとオナジマイマイが有名です。種類別に紹介していきます。
①ウスカワマイマイ
(ウスカワマイマイ 出典:Wikipedia)
その名の通り、殻が薄い事が特徴のカタツムリ。
日本全国で見かける事が出来、平均寿命は一年程度。
②オナジマイマイ
(オナジマイマイ 出典:Wikipedia)
恐らく、大多数の人がイメージするカタツムリはこちらのオナジマイマイ。
グルグルと螺旋を描くような殻を持ち、平均寿命は3~5年程度。意外にもカタツムリは長生きをします。
③ナミコギセル
(キセルガイ 出典:Wikipedia)
日本で見かける事は無いとは思いますが、キセルガイ科に属しているカタツムリの一種でナミコギセルというカタツムリがいます。
なんと、このナミコギセルを野外から採取して飼育して15年も生きたというのですから驚きです。
非公式ではありますが、カタツムリの最長寿命記録はこの15年生きたナミコギセルでしょう。
ちなみに、このナミコギセルの死因は飼育していた人が不注意で乾燥させてしまった為。つまり、カタツムリは種類によっては15年以上生きるという事になりますね。
さて、ここからはカタツムリの不思議生態について色々と解説していきます。アナタの知らないカタツムリの世界、彼らの驚きの生態をご紹介していきましょう。
まずは有名どころ「雌雄同体」という生態
カタツムリの生態、と聞いて真っ先に思い浮かべる不思議な特徴が「雌雄同体」ではないでしょうか?
雌雄同体とは、オスとメスの区別が無いという特徴です。
カタツムリ以外にも雌雄同体の性質を持つ生き物が居ます。イタヤガイという二枚貝や、ホヤは1個体で精子と卵子の双方を有しており両方を体外へと放出する事で、自家受精という方法で増える生態を持っています。
(イタヤガイ科 出典:Wikipedia)
一人クローン作製と言ったところでしょうか。
ウミウシも雌雄同体で有名なのですが、こちらはイタヤガイやホヤとは異なるタイプの雌雄同体です。ウミウシは、配偶時に2個体がそれぞれオス役とメス役をこなします。
解り易く言うと、性交をした2個体の両方がお母さんとなって子を産む訳です。単純に効率が2倍になるという事ですね。
さてさて、それでは気になるカタツムリはどのような雌雄同体なのでしょうか?
カタツムリは独特な特徴を持つ雌雄同体種です。基本的には、精子と卵子の両方を有しているので他の雌雄同体という特徴を持つ生物と変わりません。
しかし、カタツムリはハイブリット種と言える独自の特徴があります。カタツムリは、ウミウシのように別個体と遭遇した時に繁殖行動を取ります。
種類によって違いがある場合もあるのですが、繁殖行動を取るカタツムリはお互いに精子を相手へと送り込み双方共に産卵する事が出来ます。
しかし、ウミウシと異なる点が「自家受精をする事がある」という点です。ウミウシは、精子と卵子の両方を体内に有しているにも関わらず何故か自家受精はしません。
ところがカタツムリは、イタヤガイやホヤと方法は異なるものの自家受精も行う事があるのです。
理由は完全に解明されてはいませんが、研究者はカタツムリの移動範囲が狭い事が起因していると考えられているようです。
子孫を残したいが、2個体が出会える確率が高く無い事が雌雄同体という生態を選択させ、更に子孫を残せる可能性を高める為に自家受精をも選択肢に取り入れたカタツムリ。
速く移動する進化を選ばなかった点が不思議に思えますが・・。
カタツムリの交尾で寿命は『4分の3』減る
雌雄同体のカタツムリは、2個体が遭遇すると生殖行動を取るとご紹介しました。
カタツムリの生殖器にはロマンティックな名称が付けられています。その名も恋矢(れんや)。ラブダート(恋の矢)などという別称もあり、名前だけをみると素敵です。
この恋矢、槍状の固い突起です。
童謡にある槍だせ~♪のフレーズはまさにこの恋矢を歌ったものですが、相手と出会うとお互いに恋矢を相手に突き刺します。
研究によれば、この恋矢を突き刺された個体は寿命が大きく減る事が判明しています。
どの程度寿命が低下するのかというとある研究データによれば、なんと寿命の4分の3が減るとのこと。本当にカタツムリの生態は不思議なものです。
カタツムリと雨&アジサイの関係
冒頭でも述べましたが、梅雨などの雨が降る時期になるとカタツムリが出てくるイメージや、アジサイの葉などについているイメージが定着していますよね?
そのイメージを覆すカタツムリの意外な事実をご紹介します。
①雨が好きな訳では無い!
雨が降って湿度が高くなると、カタツムリをよく見かけると思っていませんか?
実は!カタツムリは別に雨が好きで出てくる訳ではありません。
雨の日にカタツムリを多く見かける真の理由、それは「カタツムリは水が苦手」だから。
意外ですが、カタツムリは水が苦手なんです。理由は、カタツムリは分類上貝類ではあるのですが肺呼吸をする生き物なので溺れます。
ですから、雨の日にカタツムリが人目に付きやすい高さに出没するのは「溺れない為に避難している」から。
なんとも、知りたかったような知りたくなかったような事実ですよね。
②アジサイの葉が好きでは無い
カレンダーの挿絵、6月などはアジサイの葉にカタツムリという画は代表的な構図ですよね。よく見かける構図なだけに、カタツムリはアジサイの葉が好きなのかな?と思っている方も多いのではないでしょうか?
実は!カタツムリはアジサイの葉は食べられません。アジサイの葉には毒性があるので食べる事が出来ないのです。
つまり、別にカタツムリはアジサイが好きではないのです。では、何故アジサイの葉に乗るカタツムリを見かけるのでしょうか?
それは、溺れない為の避難場所がたまたまアジサイだったという事になります。
アジサイは梅雨時期が最盛期で綺麗なものです。自然と、見る機会が増えてそこにたまたま避難してきたカタツムリを発見。
結果として、アジサイとカタツムリがワンセットの構図が多く描かれただけなのです。
まとめ
・カタツムリの寿命は種類によって大きく異なる。
・日本でよく見るカタツムリは最長5年程度の寿命。
・ナミコギセルというカタツムリは15年生きた。
・カタツムリは水が苦手、アジサイも好きではない。
・カタツムリは雌雄同体。
・交尾をすると寿命が大幅に減る。
いかがでしたでしょうか?
知っているようで知らない事が多いカタツムリの生態をいくつかご紹介しました。
実は、まだまだ不思議な生態を持っているカタツムリですが最後に気を付けたい生態を簡単に触れておきましょう。
カタツムリを雨の日に見かけても、安易に触れようとするのは極力避けましょう。
特に、好奇心旺盛なお子様はカタツムリを見かけたら触りたがるものですが、カタツムリを触れた場合は帰宅後しっかりと手を洗うようにしてください。
カタツムリは人間にも大きな悪影響を及ぼす寄生虫を持っている事があります。雨の日にお子様がカタツムリを触った際は注意しましょう。